JR東労組 えん罪JR浦和電車区事件を支援する会
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勝ったのは誰か
松崎 都 
 5年8ヶ月、経った。この事件が、平和憲法を護ろうとする労働組合つぶしを狙った公安警察によるえん罪事件であることは明らかだった。JR東労組に対するこの攻撃は、十分に衝撃的であったが、さらにかくも不当な弾圧を受けた労働者とその組合を護り、共に反弾圧に立ち向かうはずのものと考えていた勢力が、この権力の暴挙を看過し、まったく動こうとしなかった事に強い衝撃を受けた。そこには、現在JR東労組が置かれている立場、この国の政治状況があぶり出されていた。JR総連・JR東労組はマス・コミまでを使っての攻撃にさらされながら、孤軍奮闘、孤独な闘いを闘ってきた。
 しかし今、二審判決を前にして「えん罪JR浦和電車区事件」に対する世間の目は明らかに変わってきていると感じられる。この変化は、何によってもたらされているのであろうか。
 60回に及ぶ東京地裁での裁判闘争、毎回1500名以上の組合員が駆け付けた傍聴券獲得、組合内部の話し合い、全国で開催された数知れぬ集会、その際撒かれた事件の真相を訴えるビラ、「支援する会」への結集、数次に亘る署名活動、そして24週にわたって「JR総連=テロリスト・革マル派」キャンペーンを『週刊現代』でくり広げられた講談社と西岡記者に対する名誉毀損裁裁判で暴露された「でっち上げ記事」の真相、JR東日本会社による不当な懲戒解雇処分に対し下された地位保全「命令」・・・等々、その闘いは地道で多岐にわたるものだった。
 これらの闘いを通じて何よりも変わったのは組合員の意識ではないのだろうか。控訴審を前にして、この5、6月には全国で「控訴審勝利」にむけて、多数の集会が開催された。東京・神奈川・水戸の集会に参加した。前2ヶ所では、JR東労組を取り巻く外部環境の変化を強く感じた。そして水戸では、己の闘いの正しさを確信し、次の一歩を踏み出そうとしている組合員を見たのだった。

リレートーク
小野道 浩 
 えん罪・JR浦和電車区事件での本当の被害者は、被害届を出したY君とやらではなく、美世志会の7人である。彼らは、通常は逮捕に至る以前のおこなわれるはずの事情聴取も任意出頭もないまま、文字どおり「ある日突然に」逮捕され、そのまま344日にもわたって勾留された。定まった住居と職を持っているのだから、勾留の理由としては「証拠隠滅の恐れ」しかないはずである。つまり、口裏を合わせの機会を与えないという意味である。だが、そんな理由で、最高刑3年の事件に一年近い勾留が許されるとすれば、被疑者が複数の事件では検察は事実上の「勾留の自由」を持ってしまうことになりはしないか。令状をとっての逮捕であり、勾留理由開示公判もおこなわれているのだが、何か法的にすっきりとしないものを感じるのは筆者だけであろうか。
 7人は、判決以前に、いや裁判以前に、実刑344日という「刑の執行」を受けたことになりはしないか。

  7人が問われているのは、強要罪である。
強要罪は刑法223条に定められており、その@項は「生命・身体・自由・名誉若シクハ財産ニ対シ害ヲ加エ可キコトヲ以テ脅迫シ又ハ暴行ヲ用ヒ人ヲシテ義務ナキコトヲ行ハシメ又ハ行ウ可キ権利ヲ妨害シタル者ハ三年以下ノ懲役ニ処ス」というものだが、これを適用するにあたっては「生命〜財産」に対する「加害の告知」が立証されねばならないはずである。ところが、Y君と7人のうちの誰かとが接触した場所と日時として起訴状があげている計14回のうち、どれとどれが「加害の告知」の現場だったのかはまるっきり不明のままだし、したがって告知したのが誰と誰だったかも明らかでない。つまり「加害の告知」は立証されていないのであり、「強要罪」はその前提からして崩れ去っていると言わねばならない。

  事件と呼ばれるほどの事がもし実際に起こっていたとすれば、その「現場」は浦和電車区であり、埼玉県である。しかし、事件として取り上げたのは埼玉県警でも浦和の所轄書でもなく、警視庁公安二課である。公安二課の出番を整えるために、管下のJR蒲田駅も「現場」の一つに仕立て上げるなどの小細工を弄してもいるのだが、それにしても「第一現場」は浦和電車区である。しかも、公安二課が立件に踏み切ったのは事件から一年余りも後のことである。この間、ためらうY君に対して執拗なまでにまとわりつき、被害届を出すことに合意させ、その文書はY君ではなく担当の刑事が書いている。調べの過程での刑事らの言動からは、弾圧の狙いがJR東労組そのものにあったこと、東労組を「革マルに牛耳られている組織」とみなし、「内からは崩せないので外から壊す」という目的で開始されたことが明らかである。
 つまり、事件は公安二課による弾圧事件であり、それ以外のものではない。

2008年 第二審(控訴審)完全無罪を期す!
舩田 功 
 07年7月17日、5年・60回の公判の末、「浦和電車区事件」の7名は、執行猶予付きながらも懲役1〜2年の「有罪刑」が科された。最前列の7名にさえ聞こえない裁判長の蚊にも負けそうな声での言い渡し。これが、第一審の結論か?と思われるような7名にも傍聴者にも失礼極まる公判廷であった。裁判長3人目、左右裁判官・検察官も全員交替という異常環境。「判決文」も2ヶ月後の9月下旬に下付という不当極まる第一審であった。8月30日、待ってましたとばかりにJR東日本株式会社は、社員6名全員に<懲戒解雇>。労働者にとって最大の懲戒ー馘首かくしゅ(首切り)を発したのである。
 あれから8ヶ月が経過した。あの時以来のJR東労組を包囲する全ての権力に対する不信は、日一日と拡大再生産されている。本人・家族・JR東労組の同僚、組合員、JR総連所属の組合員、特定・不特定多数の支援する会に結集する者の中に拡大増殖されている。権力をかさに着た人民への陵辱りょうじょくは天が許さない。そう信じたいところだが、浦和事件を筆頭にJR東労組・JR総連に対する国家権力の弾圧は、小泉政権以来うち続いている。アフガン戦争、イラク戦争に反対し、憲法9条を守り、国際連帯による平和運動を掲げるJR東労組・JR総連は、政府・国家権力にとって目の上のたんこぶなのだ。“国防こそ最大の福祉”とうそぶく「反JR東労組」を標榜ひょうぼうする組織に翻弄ほんろうされていた「JR東労組組合員」であったYに対し、同僚・先輩による同情的説諭や説得が強要・脅迫(共同正犯・共謀)の犯罪となったのである。世にあまた組織がある中で、同僚組合員に対し共謀し「組合を辞めろ!」「会社を辞めろ!」などと14回も強要・脅迫する組織があるだろうか?否。第一審東京地裁判決では、検察側の論告「Y証言は、全体が一貫していること、証言内容、証言態度からも信用性が高い」と相呼応し、被害者Yの一方的被害妄想的証言を裁判長は真実と認定し、被告の主張を弁解と退けている。弁護団の反対尋問時のシドロモドロ。真っ青な顔。そして「記憶にない」。「・・・沈黙・・・」のYの対応。私も傍聴席から見ていた。検察官・裁判長はまさに「・・・見てきたような、嘘を言い」である。第一審判決は、労働者や労働組合に対する見せしめであり、公安検察等国家権力に対する見せかけである。日本国憲法第28条「団結権」・労働組合法などを無視黙殺し、下位法の「刑法」のみにて刑を科した。
 2008年春、第二審・控訴審が開始される。鉄路の団結を堅持しつつ共に闘いを続けていく。

リレートーク
十勝 花子(女優)
呼びかけ人の一人になってから、もう何日が経ったのでしょうか?
私は2月6日に、公正・公平な裁判を求める署名を持って
東京地裁に行って参りました。そこで感じた事は
今まで何人の人達が、無念の思いを抱きながら
この門をくぐったのだろうかという事です。
なんにも悪い事をしていないのに・・・逮捕された
真面目に素朴に生きているのに・・・逮捕された
無実の人間が、罪人の汚名を着せられたとしたら
どれだけ情けない事でしょう。どれだけ涙を流す事でしょう。

警察は悪い人を捕まえる
裁判所は悪い人を裁く
正義の味方なんだと、子供の頃から強く信じていた私。
なんという世間知らずだった事か!
私はずーっと、怒っています。
これはJRだけの問題ではありません。
この国に生まれ
この国を愛し
この国で精一杯生きている
全ての労働者の闘いです。

7名の完全無罪
一日も早い職場復帰
それが実現しないような日本なら
私は日本人である事を
恥かしいと思うでしょう。

論告を聞いて
 佐々木 秀典 (弁護士・前衆議院議員)
1、2月21日、検察官3人の5時間余の論告を聞いた感想を言えば、「馬鹿馬鹿しい」に尽きます。全文は二百数十頁に及ぶもので、一部省略しての読み上げたそうですが、よくもまあそれだけ書いたもの、辻褄合わせにさぞかし苦労されたことと感心したり呆れたりしたことでした。わけても、被害者とされるY君は運転士であるところ、被告人らの脅迫で精神の安定を失うに至り、そうした状態で車両の運転業務に従事すれば事故発生の危険も生じるので、本件被告人らの行為は、Y君に対する強要に止まらず重大な責任を問われるべきものと言うに至っては、まさに「風が吹けば桶屋が儲かる」或いは「理屈と膏薬はどこにでもつく」のたとえを思いだしたことでした。

2、そもそも検察官は「公益の代表者」であり、「刑事について公訴を行い、裁判所に法の正当な適用を請求」することを職務とする(検察庁法第4条)ものですが、裁判官、弁護士と並ぶ法曹の一翼として、「基本的人格を擁護し、社会正義を実現することを使命とする」(弁護士法第1条)べきことは当然です。従って、警察から送検された事件についても、警察の捜査を鵜呑みにするのではなく、予断を入れず冷徹に独自の捜査、調査の上で公訴の是非を決定しなければなりません。然し、我が国の検察の現状は、この理念に反する傾向は時折顕著に見られます。例えば過日の鹿児島地裁で12名の被告人全員無罪の判決が言い渡された選挙違反事件は、その代表でしょう。全くなかった買収事案を県警がでっち上げ、被疑者を逮捕、勾留して自白を強要した。検察は被疑者らの無実の主張に耳をかさず全員を起訴した。権力の犯罪と言わざるを得ません。無罪判決に対して検察は控訴を断念しました。然し、警察と共に法的責任は免れません。厳しく断罪されるべきでしょう。

3、一方、検察は起訴すべきものを野放しにするという職務違反も行っています。例えば私が議員在職中に行った、金丸信代議士の政治資金規正法違反、収賄罪の告訴で同氏を不起訴とし、又北海道警察幹部のいわゆる裏金に関する横領、背任罪の告訴も不起訴としました。両事件とも、私は不起訴を不当として、検察審査会に、これらの不起訴の当否の審判を求めたところ、審査会は両事件とも起訴相当と審判し、これを受けて前者については東京地検、後者については札幌地検が再捜査したものの、結局双方共再び不起訴の決定をしました。
 残念ながら現行の検察審査会法は審査会の起訴相当の決定に拘束が与えられていないため、このようなことにもなるわけで、先の国会で同法を改正し、検審の決定に拘束力を与えることになったのですが、その実施は本年4月からになります。

4、このように、やるべきことをやらず、やってはならないことをやる警察と検察、JR浦電事件は、まさにその一環として捏造されたものといえるでしょう。およそ公益の代表者の名に反する権力の濫用、不正な法の執行を糾し、真実と正義のために冤罪を晴らすと共に、検察、検察の法的責任を明らかにする弁護団の弁論を期待します。美世志会の皆さん、弁護団の皆さん、共に頑張りましょう。

浦和電車区事件HPリレートーク
近藤日佐子
 冬らしい日がほとんどないまま2月も終わった。自然がおかしくなると人間もおかしくなるのか、人間がおかしくなったから自然もおかしくなったのか・・・・・。
 北方謙三の「楊家将」(上下)を読んだ。中国では「三国志」「水滸伝」と同様に人気があるというが知らなかった。貧乏音楽家の私は少しでも本を安く買おうと思い、北方謙三の「水滸伝」(19刊)の文庫版が出るのを待っていた。ところが1カ月に1冊ずつの出版なので間があいてしまう。そこで幕間劇よろしく読んだのが「楊家将」だ。水滸伝には楊家の子孫が出てくるのでリンクしている。
 権力側はしたたかであり、それに立ち向かう者は痛みを伴うというのは今に始まったことではない。
 では権力に立ち向かうにはどのようにすればよいのか。
 この本はそれの道標にもなる。
 北方氏は1947年生まれの全共闘世代であり、学生運動の経験もあるようだ。だからなのかどうか"今"の社会に容易に置き換えることができる。歴史に学ぶことは多い。
 浦和電車区事件の検察側の論告求刑は想像通りの最悪のものだった。
 7月の判決にむけて、私たちがどのように闘うべきか。正面から闇雲に権力の壁に体当たりするという手法は潔く気持ちも良いだろうが、結果が伴わないのは明白である。
 宋時代の楊一族の生き様と水滸伝を今一度読み解き「全員完全無罪」の勝ちいくさをしたいものだ
 後世に美談を残すよりも、彼ら全員の職場復帰を実現したい。

えん罪浦和電車区事件
ーー平和運動・JR東労組への圧迫
布野 榮一
 えん罪JR浦和電車区事件は、7人のJRの労働組合員が強要罪という、いわれなき罪を科されたのでした。同じ勤務所で働くY君がJR総連・JR東労組の分裂・退化を計っているグリーン・ユニオンという組織の集まりに参加したことに対し、働く仲間としての7人の組合員が正常な労働組合活動に戻るよう話し合いをもったことが、警視庁公安二課によって、7人がY君に激しい糺問・強制を行い、Y君が組合からの脱退・退職に追い込まれたとし、強要罪で逮捕されるはめになりました。
 これは柳原周治郎氏編『鉄路の7人』(白順社刊行)に、その現実が記されています。Y君とは、仲間どおしの話し合いが行われ、脱退・退職を求めたことは決してないこと、Y君の行為は自主的に行われた実情も述べられています。
 Y君の父親が彼の退職について、「事件」として浦和警察署に申し立てたが、全く取り扱われなかったのです。それをなぜ警視庁公安二課が事件として構成したかということを推定してみますと、JR東労組が、平和運動を推進して、憲法9条を守ることを組織として取り組んでいることへの圧迫のためと言えます。我が国が明治以来、多くの戦争による惨禍を生んで来たことを停止し、平和な国を未来にまでつづけるようと規定した憲法9条を守ることを主旨とした「9条連」などの平和運動があります。その全国的な「9条連」の県別または地域別の組織の事務局の多くをJR東労組が担当しています。
 現政権を中心にした権力が憲法9条を主目標に現憲法の改悪を計画していることは皆様のご承知のとおりです。しかし、国民投票により賛同者が多数でなければ改悪の成立しない現状のなかでは、「9条連」などの組織はいわば邪魔な存在です。したがって「9条連」に拠り平和を守ろうとする運動を行うJR東労組を悪しき組織と断定し、弱体化をと考えていると思われます。
 そこで、強要などの事実はなかったのに、えん罪浦和電車区事件で裁判し、この事件を利用して、JR総連・JR東労組がそのような不条理を行っているとして、圧迫しようとしていると考えられます。
 えん罪JR浦和電車区事件の無罪となることのために、多くの方々の御賛同を得て、無罪の判決を得るためのご協力をお願いします。きっと無罪となることを信じたいのです。

2007年浦和電車区事件の完全無罪を期す!
舩田 功
 2007年の初春を待たず、06年末日の12月31日。イラク戦争での、米軍の戦死者がとうとう3,000名を超えた。対するイラク民衆の犠牲者は100,000人をすでに超えているというのが大方の認識である。血で血を洗う戦いが、チグリス・ユーフラテイス川流域のアラビア文明の根拠地メソポタミアの美しい風景を完膚無きまでに壊した。この地上に生きる者として恐怖と戦慄と不条理のなかに生きる満身創痍の中東の地と人民を想う。イラク元大統領フセインも新年を待たず絞首刑に処せられた。一族郎党すべて失った中での断罪である。米ブッシュは民主党に中間選挙で敗れたとは言え健在である。戦争に対する真摯な反省はなく、鉄面皮にもテロ対策とイラク派遣兵士の増員への予算増加を意図している。一方、アフガンでも戦闘は続く。パレスチナ・レバノン×イスラエル。ルワンダ、ソマリア・・・。戦争・戦乱は、依然として続き平和から遠い。ブッシュとそれに追随する英・日等、世界の指導者の戦争責任は拭い得ない。
 日本国内では、昨9月、安倍内閣成立。電光石火「教育改革・再生」を提唱し、「教育基本法『改正』」に突進、衆議院を強行突破、おそれをなした野党らは、自ら露払いの任にあたり、12月国会最終日、戦後日本の教育の指標をあっさりと葬り去った。7月の参議院選挙の「政権奪取」のために、現実の闘いと未来への希望を消去したのである。「共謀罪」「国民投票法案」は、継続審議となり、日本の政治・経済・教育のファシズム化は大乱の予想の中で、その牙を剥ぎ始めた。公安警察・検察の、労働組合、市民運動、学生運動に対する卑劣な弾圧は、年々凶悪化をたどっている。
 この圧倒的な、司法の劣化のなかで「えん罪 JR浦和電車区事件」が、2月、「論告求刑」となる。検察側は、同じ組合に属するY君の組合脱退発言を心配し行った説得活動を「強要罪」とした。検察側は地裁の保釈許可まで取り消させ、344日間も未決勾留し、4年間55回の公判で、無実の7名の労働者の自由を剥奪し続けている。
 2006年秋、私たち「支援する会」は、全国各地24箇所において「7名の完全無罪を勝ちとる集会」を開催し、“鉄路の団結”を誓い合った。また全国から63万筆を超える署名も寄せられ感謝しつつ、07年を迎えた。検察側はY君が隠し持っていたICレコーダーの多くの誤りを含んだ恣意的反訳や、アリバイの存在を無視し続け、計画的・意図的。強圧的にY君を労組脱退・退職にまで至らせた組織犯罪と断じようとしている。
 私たちは、共謀罪の先行的試行を断じて認めない。私たち「支援する会」は、7名のJR労働者の完全無罪、即時職場復帰を強く求める。無実の者を犯罪者にしてはならない。無実の者をいかなる罪にも科させてはならない。

年頭にあたって
呼びかけ人代表 後藤 昌次郎
 JR浦和電車区事件は、単なるえん罪事件ではない。公安警察・検察によるデッチ上げ事件である。捜査のミスで犯人にされようとしているのではなく、政治的目的による大掛かりなデッチ上げ事件である。法定刑3年以下という強要罪をコネ上げて、組合本部、地本、支部、分会、組合員の私宅まで襲い、ガサをかけ逮捕するという大仕掛けな謀略事件だ。松川事件でもこういうことはなかった。 しかも法定刑3年以下という微罪を口実に、逮捕から344日も勾留を続けたのだ。こんな弾圧には決して挫けない、団結して必ず勝利するという決意と気魄から「美世志会」が生まれたのだ。
 デッチ上げの手口には、大きく言って証拠のねつ造と隠滅がある。本件は、後者の典型である。松川事件では物、すなわち「諏訪メモ」を、菅生事件では人、すなわち真犯人を隠した。真実を隠し、見落とさせ、葬るためである。これを見破って、公判廷に出させるのは非常に難しい。水掛け論となって、裁判所は、検察に軍配をあげるからである。裁判は、建前上、無罪の推定に立たなければならないが、現実の裁判では事実上、有罪の推定がまかり通っているからである。合理的疑問を容れることのできないほど、無実を立証したと自負しても、裁判所は多く、これを無視する。松川事件の1、2審判決が、その例である。だから「公判闘争の主戦場は公判廷の外にある」というのである。公判で明らかにした真実をひろく国民に訴え、真実の力を社会的力にして国家権力の不正と対決する。それによって隠された証拠が現れ、理屈による裁判の歪曲を許さず、裁判に勝利することができるのである。
 本件は、松川事件、菅生事件と並ぶ政治的謀略事件である。松川事件では物=「諏訪メモ」を隠し、菅生事件では人=「真犯人・戸高公徳」を隠した。本件では公判の始まりから事実の核心そのものを隠した。どうでもよいことと、どうでもよくないことがある。何が語られているかということより、何が語られていないか、ということが大事だ。語ることによってウソをつき、語らないことによって真実を隠す、本件は政治的謀略事件である。被告・弁護団の活躍を支援する人々の力によって、真実はほぼ解明された。だが油断は出来ない。フンドシを締め直さなくてはならない。隠された真実の急所をつかみ出して、徹底的に謀略を挫かなければならない。詳細は最終弁論で明らかにされるだろう。心から、一層のご支援を期待する。

来年は判決 絶対に「無罪」にさせましょう!
事務局長 飯沼 勝男
 「えん罪JR浦和電車区事件」の第一審判決の審理が12月21日の第55回公判で終わりました。つぎは来年2月の論告求刑、4月の3日間の弁論、期日は確定していませんが、判決ということになります。判決日も含めて、公判はあと5回です。えで「浦和電車区事件」の第一審は終わります。7人の被告たちが、突然逮捕されたのが、2002年11月1日、第一回公判が行われたのが、翌年03念2月25日、逮捕からすでに4年が過ぎ、第一回公判からも、判決までに4年半はかかるだろうと思われます。この間、被告たちは344日も勾留されていたのです。
 被告たちに対する罪状は、「強要罪」。検察の主張は、Y君という同じ浦和電車区事件の運転士で、組合員だった人に「因縁をつけ」て、大勢で「脅迫」して、組合員からの脱退とJR東日本会社からの退職を「強要」したというものです。だから被告たちは、刑法の「強要罪」の「共同犯行」で起訴され、裁判にかけられてきたのです。「強要罪」の刑は、最高懲役3年です。なんと7人の被告は、懲役3年になるかどうかという裁判を、第一審だけで4年以上も受けてきたのです。憲法37条には「すべて刑事事件において、被告人は公平な裁判所の迅速な公開裁判を受ける権利を有する」と明記しています。「浦和電車区事件」裁判は、「迅速」といえるでしょうか。さらに「公平」かどうかも疑わしいものがあります。それは一審だけで裁判長が3人目、陪席裁判官も何人も変わり、第一回からいる裁判官が一人もいないのです。裁判官は、書類だけで裁判をやるのではありません。刑事裁判の一審は公開の法廷で、被告・弁護人と検察の主張・意見・陳述をよく聞き、証拠を調べ、証人が出た時は、証言だけではなく、態度なども観察し、真実を述べているかどうかを「公平」に判断する責任があるのです。「被害者」とされるY君は、証人に出て、検事の質問には、スラスラ答え、弁護人の質問には、シドロモドロでした。この様子をみれば、ウソか本当かが解りますが、これを見聞きした裁判官が、今は誰もいないのです。被告の陳述についても、全部を聞いた裁判官は一人もいない、部分的にしか直接聞いていない裁判官が裁判をやってきたのです。書面をいくら読んでも解らないということはたくさんあります。なんとも中途半端な裁判だけに、私たちは「公平・公正」を危ぶんでおります。
 裁判が「公平・公正」であれば、この事件の判決は「無罪」です。「無罪」でなければ、それは不当極まる判決です。それはなぜか。この事件は、警察公安と検察がデッチあげた、まさに「えん罪」だからです。7人の被告とJR東労組の浦和電車区分会は、Y君に組合脱退や退職を「強要」したことなぞまったくありません。検事自身が、冒頭陳述で述べていますが、「組合脱退」を言い出したのは、Y君自身なのです。Y君の言動にむしろ、組合が驚いて、事情を聞き、説得したのです。反組合的で、対立組織とつながっていた吉田君は、対立組合の指導のもと、ウソをつき、それがばれ、またウソを重ね、組合集会にICレコーダーを持ち込んで録音までしていました。被告が「強要」したという時間には、電車を運転中だったというアリバイも判明しました。警視庁公安部と検察庁は、JR東労組を「革マル」(過激派のひとつ)と根拠もなしに決めつけ、取り調べは「革マル」の一点張りで自白を強要、裁判所も殊更に警戒を厳重にし、保釈請求は、検事の「革マル」論に同調して4回も拒否し、5回目に許可したものを高裁が拒否し、344日もの勾留になったのです。警察統計でも、25日以上勾留されたのは刑事犯の0.13%で、7名の被告たちは1000人に1人の極悪犯人扱いを受けてきました。なぜこんなことがされたのか、それは政府の方針です。「浦電事件」は政府権力による「国策事件=国策裁判」なのです。同時多発テロを理由に、アフガン、イラクへの戦争を始めたブッシュ、ブレアとこれに追随したコイズミを厳しく糾弾したJR総連・東労組の創始者である松崎明さんを倒すために仕組んだ事件であることが、検察文書や、JR総連の提訴を受けたILOの求めに政府が提出した「見解」にこう書かれています。「本件は組織的かつ狡猾に敢行された極めて悪質な事犯」というのです。裁判中の事件に、政府が「悪質事犯」と言っているのです。
 しかし裁判では、真実がはっきりしました。事件はデッチあげ、組合の行動は組合の団結を守る正当な行為です。判決にむけた「公平・公正な裁判」を求める50万人署名は年末63万筆になりました。全国24箇所の集会はいずれも大成功しました。さあ、来年は無罪をガッチリ勝ちとるために、この運動をさらに進めましょう。皆さんのご理解とご支援をよろしくお願いします。

阿部 昭三 : 日本ペンクラブ
 
 共謀罪原資を検証し、心覚えで久しぶりに治安維持法を展げて、あっと声を飲んだ。治安維持法63条の第3章39章から終わりまで予防拘禁でぎっしり埋められ、何と共謀罪こそ迷彩を施した焼き直し版であった。もう一度、あっと息を飲んだのでした。世界史に悪名高き治安維持法を上程したら国民世論の激昂でまたたく潰されてしまうのは自明の理である。
 しかし政権運営にとって、これほど有効な法体系は無く、デモクラシーを封殺するには早急な立法をと考えたのは、治安維持法を分解してひとつひとつ可決させてゆけばよい。それが何と個人情報保護法であり、有事立法であり、教育基本法改正であり、共謀罪だったのです。つまりこの四法を立法可決させ整合させれば優に治安維持法を凌駕する大きく網を広げた弾圧立法が出来上がるのです。
 遠くは大逆事件然り、松川、下山、三鷹事件という全てのえん罪事件は周到な計画の上に実行されてあります。それらは全て政府の政策断行と連動している。大逆事件は朝鮮併合よる植民地化、一連の昭和24年の三事件の翌年、満を持して米軍とそれをフォローした日本は、朝鮮半島を火の海にしてしまった。つまり治安維持法にかわる弾圧四法を瞬時に可決させるには、真摯な、強力なデモクラシーの拠点を潰してしまわねばならなかった。そのターゲットにされたのがJR東労組でありJR総連であった。政府権力にとって、裁判の勝敗など眼中にない。勢いをくじいて立法を急げばよかったのです。
 えん罪は悪しき政策と連動している。もとより浦電事件はえん罪であるから無罪は明白である。つまり我々の勝利は無罪を勝ちとるだけでは終わらない。二度と政府権力にえん罪を起こさせない歯止めをかけねばなりません。
 我々の大きなうねりを解消させてはならない。えん罪は起こせなくなったと政府が頭を抱えるまで更にうねりを大きくして権力の息の根を止めるまで、続けよう、その日まで。

子や孫を戦場に送ってはなりません
石上 正夫
 立川でビラを配って、市民が逮捕されました。米軍のアフガン戦争、イラク戦争に加担することへ反対したからの逮捕です。
 いま国会では、「教育基本法」の改訂が可決寸前になっています。「愛国心」教育を軸にして、国民主権を後退させ、公共の精神を強調して、戦争に協力する政府のやり方を正当なものにする意図が読み取れます。
 60年、大切に守り続けてきた平和を、簡単に捨て去るわけにはいきません。
先日、「えん罪 JR浦和電車区事件」の東京集会(戸田市開催)に参加しました。JR東労組が、普通の組合活動をしたのに、「強要罪」の容疑で7人を公安警察が逮捕したのです。
 「犯罪がないのに、犯人を逮捕する」恐ろしい時代になったと、心がふるえました。なぜ、7人は逮捕されたのか。JR東労組は、「安全と平和」を強く主張しています。政府が戦争に加担することの危険に反対したからの逮捕です。7人の逮捕によって、戦争に反対するJR総連とJR東労組つぶしが狙いだとわかりました。
 また『週刊現代』が、「テロリストに乗っ取られたJR東日本」などと、根も葉もないデマ宣伝を執拗にくりひろげています。戦時中、マスコミが戦争遂行に恥も外聞もなく協力したことが思い起こされます。
 ビラ配り逮捕、無実の7人逮捕、東労組つぶしは「戦争に反対する者は容赦しないぞ」という、政治的意図をもった口封じです。
 一方、「教育基本法」の改訂は、公共(国家)のために戦争に参加する青少年を育成する狙いをもっているものと思えてなりません。「反戦口封じ」と「戦争可能教育」は、じつは表裏一体の政府の緊急課題なのです。日本はいま、アメリカの戦争戦略により深く加担するかどうか、国民にとって重要な岐路に立っているのが現状です。
 軍国主義教育は、たくさんの軍国少年を育てました。太平洋戦争には、自ら志願して少年飛行兵となって戦争の地獄を見て「二度とこの無残をくり返してはならない」と決意したことは、80歳をこえて更に強くなりました。
 戦争になってからでは遅いのです。今、日本の未来と平和を願う市民が、危うい現状をしっかりと見直したいと願うものです。

この「事件」笑っていられません
橋本 勝 (イラストレーター)
 私は風刺マンガを生業としています。いわば社会や政治に対する絵による“異議申し立て”をする仕事です。ですから人間の嫌いなもの、社会や政治の歪みや悪に対して敏感にならざるを得ません。といっても“漫画”という表現ですからあまりう真面目にストレートな訴え方はしません。何よりも人間の「笑い」という批評の力を信じたい。
 でも時に、現実の社会では実に変というか、おかしいと思える事が起こります。たとえばこの「JR浦和電車区事件」です。といってもどうしてこれが「事件」なのかと思わざるを得ないのです。現在、裁判は進行中ですが、この「事件」に関する記録や、公判報告などを読みますといっそうその観が強くなります。人が殺されたり、大金が盗まれたりするというスキャンダラスな事件ではないので、TVの「みのもんたの朝ズバッ!」で取り上げられたりしませんので、一般の人にはほとんど知られていません。
 でもそれはとても残念なことです。なぜならこの「事件」そして裁判の行方は、日本の未来を左右する重大なことがあるからです。近年、長びく不況、政治の総与党化などもあり、本来は社会や政治に対して異議申し立てをするべき労働運動が、とても沈滞化しています。それは戦後の日本が守ってきた戦争をしない国という路線が変えられかねません。 
 そんななかでJR東労組は大変熱心に平和運動に取り組んできた稀な組合です。“平和憲法を守ろう”なども重要な運動のひとつです。それは現在の体制側にとってもとても目障りなものです。できるならそんな組合はつぶしたい。「JR浦和電車区事件」という明らかにでっち上げられたというしかないこの「事件」に背景にそんな権力側の思惑が見えます。
 この事件の被告とされた7人に、もしも有罪の判決が下るようだったら、それは日本の民主主義に赤信号がともる時です。そして戦争する国へと日本が突き進むことになる。そんな21世紀の日本は、絶対にゴメンです。


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